職業、産業、事業所の理解
職業理解への支援。
職業、産業、事業所の理解
1 職業の理解
職業とは、
「生計維持のために、何らかの報酬を得ることを目的とする継続的な人間関係」
あるいは「一定の社会的分担もしくは、社会的役割の継続的遂行」
と定義されている。
キャリアという概念は、人生、生きるなど職業より広い概念である。
社会には約3万ほど職業が存在している。それが一定のかたまりを持っているが、
そのかたまりが「職業分類」である。
厚生労働省職業分類によれば、「職業分類」は大分類、中分類、小分類、細分類に
構成されている。(約17,000)
2 産業の理解
産業とは、「事業所において、社会的な分業として行われる財貨およびサービスの提供にかかわるすべての経済活動」である。
すなわち、産業とは、一定の場所(事業所)で行われる経済活動であって、職業が仕事を通じた人間活動であるのと対比される。
日本産業分類では、大分類(製造業など14分類)、中分類(食料品・たばこ製造業など96分類)、小分類(畜産食料品製造業など452分類)、
細分類(肉製品製造業など1,262分類)に分類されている。
職業情報作成のための分析手法
1 職務分析
「職務分析」とは、「特定の職務について、観察と面接により職務に含まれている仕事の内容と責任(職務の作業内容)、職務を実施するにあたって要求される能力(職務遂行要件)を調査・分析して、その結果を一定の様式に記述すること」である。
「職務(job)」とは、「主要なまたは特徴的な課業(task)と、それに伴う責任が同一の職位(position)の集まり」をいう。
職業の分析は、分析の対象を何処に置くかによっていろいろ分かれるが、一般に、仕事は最小の単位である職務(job)から職掌(job group)まで、次のように分けられる。
職業の分析は、分析の対象を何処に置くかによっていろいろ分かれるが、一般に、仕事は最小の単位である職務(job)から職掌(job group)まで、次のように分けられる。
① 動作(motion):作業活動を構成する最小の身体的、精神的単位
② 要素作業(element):作業としての一定のまとまりを持った動作
③ 課業(task):作業を行うにあたって論理的、
必然的にまとまりを持った要素作業
④ 職位(position):一人の労働者に割り当てられた複数の課業
⑤ 職務(job):主要かつ特徴的な課業と、責任が同一である一群の職位
⑥ 職種(job title):仕事内容に共通性があり、
関連性が高い一群の職務
⑦ 職掌(job group):事業所内の職種を、一定の基準でまとめた一群の職種
「分析の方法」は、「作業中の職務執行者を観察し、その労働者、監督者、その職務に詳しい関係者に面接して、それを一定の法則に従って記述すること」である。
2 職務調査
「職務調査」とは、「企業の中での期待される人間像を把握することに重点をおいて職務を把握する職務調査」である。
わが国で最も広く使用されてきた職務調査は、「日本賃金研究センター」方式によるものである。
職務調査の具体的分析作業は、課業の把握、難易度評価と習熟度の指定、職種別等級別職能要件書の作成という手順で行われる。
キャリア・ガイダンスや職業指導では、「人と職業のマッチング」を中核的な目標の一つとすることが多いので、中心は「職務」の分析が中心となる。それに対して職務調査は「能力開発」の観点から職務を分析する。
今日多くの企業は「職能資格制度」を取り入れている。この「職能」という概念に合わせて職務を考える分析方法である。
3 職業調査
「仕事の内容ばかりではなく、労働条件、入離職の状況、求人・求職状況など職業全体の調査」をするのが「職業調査」である。※広く職業全体を調べるものである。
現在、わが国の職業情報の典型は「職業ハンドブック」と、それをCD-ROM化、IT化した中高生向きOHBY、キャリア・インサイト、キャリア・マトリックス(事業仕分けにより廃止)などである。
「職業ハンドブック」作成のために開発された職業調査が典型的な職業調査である。
4 企業分析
企業分析とは、「一般に企業の決算書、財務諸表などを対象とするもので、経営分析ともいわれる」。企業の「ヒト、モノ、カネ、情報」を管理する技術や施策が「経営管理」であるが、それを調査、分析する技法である。
キャリア・ガイダンスやキャリア・コンサルティングに関連する企業分析は、経営管理のうちヒトに関する管理、すなわち「人事・労務管理」が該当する。ここでいう人事・労務管理とは、「経営者が、従業員の採用から退職までの、個人の雇用に関して行う一連の自主的な管理施策」である。キャリア・コンサルティングでは、人事・労務管理へのかかわりをきわめて重視している。